今日はブータンで聞いて感動したお話です。
ブータンの中ほどに位置する高度3000メートルのポプジカ谷は
国を東西に走る幹線道路から南に入った広々とした美しい雄大な谷です。
谷の入り口にはガンテ寺があります。
ガンテ村には「ゴムチェ」と呼ばれる在家出家した男性たちが多くいて
信心深い人たちの村です。
ポプジカ谷はシベリアからヒマラヤを越えて飛んでくる「オグロ鶴」の生息地で有名です。
この谷には電気が来ていません。
谷の人々は「鶴を傷つけてはいけない」と電線を張り巡らすことを拒否し、
鶴を守るために、敢えて電気のない生活を選んだ。
鶴は警戒心の強い動物だが、谷に暮らす人たちをちゃんと識別していて
谷の人々が近づいても逃げることはないそうだ。
勿論われわれが近づくことは出来ない。
日本の協力で望遠鏡を備えた観測所があり、観光客はここから鶴を見ることが出来る。
季節が巡り、鶴たちがシベリアへ帰る日がやってくる。
鶴の群れはまずガンテ寺の上空をぐるりと回り、それから谷を大きく3回旋回して
人々に別れを告げて飛び去っていく。
また秋が来て鶴たちが飛んで来る日を人びとは楽しみにしている。

近年の発達した太陽光発電システムのお陰で、谷の家々にはソーラーパネルが付けられ
電気のある生活を営めるようになった。
心優しい谷の人たちを思うと本当によかったと思うばかりである。