3年ほど前に公開されたインドフランス合作映画があります。
「あなたの名前を呼べたなら」原題[sir]という映画です。
あらすじは一言で表すと『身分が違う悲恋物語』です。
農村から金持ちの家に家政婦として働きに来た若き未亡人と御曹子との
心が通っていく人生物語なのですが、悲恋です。
彼女は「旦那さま(sir)」と呼ぶだけの超えられない身分の差がありますが、二人の心は通います。
結局は別れの最後にたった一回だけ、とうとう「アシュヴィン」と彼の名前を呼びました。
インドの身分社会の現実や生活が淡々と描かれていくとてもいい映画です。
印象的だったワンシーンがあります。
出身の農村に里帰りして行くバスの中で、村が近づいて来たときに
彼女が腕輪を外してバッグに隠すシーンです。
インド女性は夫が死んだら年齢に関係なく身を飾ることを控えます。
額の分け目に赤い色を塗る「シンドゥ」は「私の夫は健在です」のしるしなので、これも止めます。。
ヒマラヤの村では金の飾りがついたペンダントのような長いネックレスも出来ません。
腕輪は農作業の時も家事をする時もいつもジャラジャラとしています。
とくに新婚女性は真っ赤な腕輪を2ダースほどもするので「新婚さんだ」と一目瞭然です。
ですが、未亡人になると腕輪も控えるのです。
象徴的なインド風習のシーンでした。
腕に何もしていないと「そんなに貧しいのか」と心配されるほどの必須アイテムです。
私が見聞したところでは、女の子は3歳の時にピアス、5歳でナトニー(鼻ピアス)の穴を開けます。
これは親の義務のようなものです。
大体殆どのアクササリーは金製品です。
結婚の時に嫁にはたくさんの金アクササリーを贈るので親は大変です。
これは財産分与のような意味合いもあり、嫁は銀行通帳や権利書を身につけているようなものですね。
女性のアクセサリーにもお国文化が現れていて、面白いなと思います。