20年ほど前のインドの紙幣はボロボロで触るのもためらわれる古さと汚さで
財布ではなくビニール袋に入れていたものです。
銀行やお店で紙幣を受け取る際には破れていないかを確認する事が重要でした。
破れた紙幣は受け取ってもらえないので、もし手元に来たらいかに誤魔化して次に回すか、
まるでババ抜きのような状態でした。
今はデザインも新しくきれいな紙幣ばかりです。
そんな紙幣をよく見るとプツプツ小さな穴が開いていたり、
ボールペンなどで数字や文字が書いてある事があります。
どうやら手近なメモ用紙がわりに使っている様です。
小さな穴はホッチキスの跡です。
結婚式の時には花婿花嫁、親兄弟に紙幣のネックレスを掛けてお祝いします。
首まで埋もれてしまうほどです。
日本のご祝儀袋がつまり紙幣のネックレスというわけです。
町のお店では予算に応じて、高額紙幣から小額紙幣までのオーダーを受けます。
日本と同じく御祝いには新札が決まりごとです。
もちろん結婚式の後にはネックレスは解体されて普通に使われ、それが流通していくわけですから
プツプツ穴の開いたものが手元にまわってくるのは当たり前です。
さすがにあまり良い習慣とはいえないと認識されているのか、
「紙幣に穴を開けたり、メモとして使うのはやめましょう」とテレビで啓蒙活動も行われていました。
花嫁を迎える花婿行列の時にはみんなが踊りながら歌いながら行くのですが
パンジャブ地方の人達は凄いです。
親族の男性達が紙幣をばら撒きながら行進するのです。
紙幣をめがけて見物の人達まで突進してきて、お札を奪い合って大騒ぎとなります。
しばし道路は交通が止まりますが、おめでたい事なので誰もが笑顔です。
紙幣に対する習慣にもお国柄があり、びっくりするやら面白いやらです。