紅茶で有名なダージリンへはバグドグラ空港から5~6時間かかります。
九十九折の急な坂道を右へ左へと振られながら,標高2000mの街へと上っていきます。
カーブの角度は45度くらいの急なところが多く、しかも道幅が狭いので、
上りと下りの車のすれ違いはスリル満点なドライブとなります。
世界遺産の「トイトレイン」で有名なこの街は勾配の急な坂の町で人口も多いらしく、
かなりゴチャゴチャしていました。 
あちこちに英国風のホテルや建物が残っていて、
それは過ぎてきた時代を感じさせられる町の特徴でもあります。
トイトレインはその名の通り、遊園地の乗り物を大きくしたような可愛らしい、青い乗り物で
山肌を縫って走る道路脇に線路が引かれており、ゆるゆると進みます。
一車両に20人分ほどの席があり、それが4両繋がっていて
電気と蒸気の2車種があり、世界中から観光客がトイトレイン乗車目的にやってくるので
チケットが入手出来にくいそうです。
始発のダージリン駅から途中のグーム駅までおよそ1時間、
私たちは蒸気機関車のチケットが取れました。
「やったあ」と喜んだのもつかの間、
石炭を炊いて走るので、走行中絶えず小さな石炭の灰が降ってきます。
顔も服も石炭灰でザラザラの煤だらけになりました。
子供の頃に乗った夜汽車を思い出します。
蒸気機関車だったので煤だらけになったものです。
途中、景色のよい高台では乗客の写真撮影のためにしばらくの間停車してくれますし
ポーポーと汽笛を鳴らし、のんびり走るトイトレインの旅は楽しいものでした。

泊まったのは、町の一番高いところに建てられた木造の美しい静かなホテルでした。
庭も美しく手入れされており、一本の八重桜が植えられていたのが印象的です。
部屋も廊下も木が使われていて落ち着きます。
早朝、部屋の窓の遥か彼方正面には
世界第3位、8586mのカンチュンジェンガが見えました。
キーンと冷たい朝の空気が心地よく、
小さな小さなカンチュンジェンガに少しづつ朝日が当たっていき、
やがてその姿は光の中に消えていきました。