インドヒマラヤの村には温泉が湧いていて
村の中心には露天風呂があります。
りんご収穫のシーズンには多くの出稼ぎネパール人が村に滞在します。
朝、仕事前や通学前にひと風呂浴びる人も多いので、早朝の温泉は混雑します。
この朝の温泉はちょっと違っていました。
大混雑に変わりはないのですが、入っている人の顔つきが違っていました。
周りの壁にかかっている服もパンジャビスーツではなく、厚手の民族衣装のようだ。
そして女性専用沐浴露天風呂には異質な匂いが立ち込めていました。
湿った草のような、カビたような、そしてどこかちょっと甘いような、
それはウッと来るような臭気で、温泉水の硫黄の匂いを吹き消し飛ばしているようでした。
その人たちが湯に入るのに慣れていないのが、すぐわかります。
熱い湯にも慣れていないようで
「アチョっ」「アチョっ」と口々に叫んでいる。
それは「熱っ」ということらしく、叫び声は万国共通なのかとちょっとおかしかったです。
インドでは地方地方で言語が全く違います。
一説では200何十種類もの言語があるそうです。
なので村のおばさんたちと一緒に、身振り手振りで会話に挑戦してみました。
村からさらに何日かかかる奥地のザンスカール地方から女性の団体で
はるばる湯治にやって来た、というのです。
身体のあちこちが痛いのだが、温泉がいい、というのでこちらに住んでいる親戚を頼りに来たそうだ。
ザンスカールとは秘境と言っても差し支えないくらいの奥地で
そこから団体旅行に来る、などちょっと前までは考えられない事でした。
インドの経済発展がじわじわと身近に感じられました。
道路の整備も進んでいるのでしょう。
経済も豊かになっているのでしょう。
何より女性が旅に出るという時代の変化が訪れています。
あっという間にインドは世界の大国になっていく、と確信しました。